1年前に出版した「優待本」の通りに、株を買っていたら…
私の趣味の一つに、「優待株投資」があります。
株を買って、毎年優待品をもらう。
優待品を使って、ちょっとした贅沢を楽しむ。
それが面白くて、毎年ちょこちょこ優待株を買い増ししています。
そして、趣味と「証券アナリスト」という肩書を活かし…
少し前ですが、2022年3月20日にこんな本を出しています。
この本は、
「どうやったら、自分にピッタリ合った優待株を見つけられるか?」
が目的。
・自分に合った、欲しい優待の探し方
・専門用語を使わない、カンタンな企業の分析方法
などについて解説した本です。
その中で、株主優待がもらえる”オススメ銘柄”を12種類紹介しています。
ところで、これらのオススメ銘柄。
結局、その後どうなったんだろう?
と、ふと思いました。
そこで本記事では、
『もしこの本の通りに株を買っていたら、どうなったか?』
について、検証していきます。
【前提】
・「トクする 株主優待の選び方」の出版日である2022年3月22日と、2023年5月18日の株価を比較。
・同期間の日経平均株価と比べ、どの程度差があったかを検証。
【検証結果】
まず、2022年3月22日と、2023年5月18日の日経平均株価を見てみましょう。
2022年3月22日 | 2022年5月18日 | 上昇率 | |
日経平均株価 | 27,224円 | 30,573円 | 12.30% |
この1年2ヶ月ほどで、日経平均株価は12.30%上昇しました。
つまり、この期間は「だいたいどの株を買っても勝てる期間」だったと言えます。
ここで、問題となるのは…
私がオススメした銘柄が、この「+12.30%」と比べて上回っているのかどうか。
その結果はこちらです。
2022年3月22日 | 2022年5月18日 | 上昇率 | |
オリックス | 2,196.5円 | 2,431.5円 | 10.70% |
イオンモール | 1,644円 | 1,838円 | 11.80% |
バロックジャパンリミテッド | 772円 | 862円 | 11.66% |
ビックカメラ | 1,065円 | 1,105円 | 3.76% |
DDホールディングス | 510円 | 1,311円 | 157.06% |
すかいらーく | 1,537円 | 1,885円 | 22.64% |
クリエイト・レストランツ・ホールディングス | 695円 | 1,019円 | 46.62% |
ヤーマン | 1,138円 | 1,165円 | 2.37% |
西松屋 | 1,385円 | 1,688円 | 21.88% |
キングジム | 915円 | 920円 | 0.55% |
ハピネット | 1,588円 | 2,037円 | 28.27% |
イオンファンタジー | 2,644円 | 3,740円 | 41.45% |
合計 | 16,089.5円 | 20,001.5円 | 24.31% |
仮に、私が書籍で紹介した銘柄すべてを100株ずつ買おうとすると…
出版時のタイミングであれば、160万円ほどで購入することができました。
そして、当時に160万円で株を買っていれば、2023年5月ごろには、200万円まで上がっていたことになります。
上昇率は、合計で24.31%。
同期間の日経平均株価と比べて、約2倍のパフォーマンスとなりました。
【考察】
本書では「業績が安定していて、株主優待が受けられる銘柄」を紹介しています。
したがって、株価の上昇で儲けることは主目的ではなかったのですが…
結果的に、かなり高いパフォーマンスを発揮することができました。
その理由は、大きく分けて2つあります。
①コロナ禍からの業績回復を予測できたこと
1つめの理由は、コロナショックで下がった銘柄をあえてオススメしたことです。
本書では、このような予測を立てていました。
新型コロナウイルスの発生と飲食企業の関係であれば、以下のようなストーリーを描くことができます。
『トクする 株主優待の選び方』より
・【2020年】来店客が減り、大幅に減益 → 株価は大暴落
・【2021年】感染対策やテイクアウト化に向けた投資を行うため、利益はマイナスのまま → 株価は低いまま
・【2022年】客足が戻り、利益がじわじわ回復 → 株価も徐々に上昇
このようなストーリーを描くことができれば、むしろ「大暴落した2020年は株を買うべき」と判断できます。
「コロナ禍で業績が落ち込み、株価が下がったけど体力のある企業」は、2022年に業績が回復するのでは?と予測していました。
特に注目していたのが、飲食系企業。
当時はコロナ禍で客足が遠のいていたものの、倒産の可能性が低い企業を多く紹介していました。
また、「DDホールディングス」については2022年3月時点でかなりの赤字であり、リスクが高い旨も明記していましたが…
そこから急激に業績を戻し、1年ちょっとで株価は2.5倍ほどまで膨れ上がっています。
逆に、外出制限が続く中で「おうち需要」に強い企業
・ビックカメラ(家電ネット販売が強い)
・ヤーマン(家庭用の美容器具が強い)
などは、本書でオススメとして紹介したものの、株価は伸び悩む結果となりました。
②安定企業が中心銘柄であること
もう1つの理由こそが、本書で最も重視していた点。
私が選ぶ銘柄は、「業績が安定していること」が最低条件だからです。
本書を書く際、候補銘柄の企業分析を行っています。
その結果、資産・負債や利益の状況、キャッシュフロー(お金の流れ)が健全だと判断したものだけを「オススメ銘柄」として紹介しているのです。
したがって、
・業績が著しく傾き、株価が急降下した会社
・倒産した会社
は1社も出ませんでした。
まさに、本書で最も強く主張している
「勝つ投資ではなく、”負けない”投資」
を実現していることが、大きな要因だと考えています。
個別で見るとバラツキは大きいものの、トータルではかなり良好な結果となりました。
各銘柄の詳細や優待内容も紹介しているので、興味のある方は『トクする 株主優待の選び方』をぜひ一読してみてください。