コンテンツビジネスの“最大の弱点”と、その対策
文章や画像、音声、動画。
それらを組み合わせると、コンテンツとなります。
そのコンテンツを売ったり、配信することを
「コンテンツビジネス」
と言います。
私が行っているKindle出版も、コンテンツビジネスの1つです。
極論を言えば、コンテンツ作成に必要なものは「自分の時間」だけ。
元手がかからず、素晴らしいビジネス!と、取り組む人も増えているのが現状です。
ただ、コンテンツビジネスには、どうしても避けられない“最大の弱点”があります。
その弱点とは、
『同じ商品をリピートしてもらえない』
こと。
パン屋がすごく美味しいパンを作れば、同じ人にリピートされます。
でも、私のようなKindle作家が、どれだけ面白い本を作っても…
同じ本は、同じ人には二度と売れません。
なので、私たちのようなコンテンツ作成者は、常に新作を作り続けるしかない。
とにかく良質なコンテンツを作り続けて、ファンを増やす。
そして、どんどん新しいコンテンツを消費してもらうのです。
…これが、一般的な答えです。
本記事では、このコンテンツビジネスの弱点を少し深堀りしたいと思います。
結論から言うと、『同じ商品をリピートしてもらえない』という弱点について、
- 完全に克服できるプラットフォーム
- 完全な克服はできないが、疑似的な方法で克服できるプラットフォーム
があります。
まずは、YouTube。
YouTubeのように「視聴回数=収益」になるコンテンツは、明確な解決方法があります。
それは、『何度でも楽しめるモノ』を作ること。
例えば我が家では、幼児向けの英語アニメ動画を、かなり頻繁に観ています。
(子どもが楽しみながら、自然に英語を覚えられるので個人的にオススメです)
動画自体は数年前にアップされたものですが、それを何度も観て楽しんでいます。
このようなコンテンツであれば、1回の視聴で終わらず、リピートさせることが可能です。
しかも、最新情報を盛り込む必要すらありません。
一度ヒットすれば、かなりのパワーコンテンツになるでしょう。
一方、Kindle出版では…
『同じ商品をリピートしてもらえない』という弱点の完全克服は、仕組み的に不可能です。
まず、一度売れた本は、同じ人に2度買われることはありません。
仮にKindle Unlimited(読み放題の定額サービス)で2度読まれたとしても、1回目の既読分しか収益に反映されません。
じゃあ結局、Kindle作家はコンテンツを作り続けるしかないのか…
そう思うかもしれませんが、実は
「YouTubeのパワーコンテンツを作るための考え方」
で、応用できる部分があるのです。
先ほど例で出した、「我が家では、幼児向けの動画を何度も観ている」という点。
当然ですが、うちの子どもが大きくなれば、この動画を観ることは二度とないでしょう。
では、我が家のようなコアな顧客(現在、小学生未満の子どもがいる家庭)が、数年後にターゲットから外れてしまったら…
この動画は、もう誰にも観られることはなくなるのでしょうか。
そんなわけはありません。
確かに、今後、我が家は同じ動画を観なくなります。
でも、「現在0歳の子どもを持つ家庭」であれば、3~4年後に新たなターゲットとなります。
そして、その家庭がターゲットから外れると、また次の世代に愛されて…
このサイクルを繰り返すことで、コンテンツは
「世代を超えたリピート」
が可能なのです。
Kindle出版では、同じ本を、同じ顧客にリピートしてもらうことはできません。
でも、例えば
『20代で身につけたい、仕事の進め方』
といった類の本であれば…
今20代の読者に向け、明確にターゲティングすることが可能です。
そして、現在10代後半の人も、数年後にはターゲットとなります。
このサイクルさえうまく回れば、ロングセラー本を作ることも可能です。
私が出しているKindle本で、具体例を挙げてみます。
■最後のジュニアNISA
こちらは、「ロングセラーが不可能な本」の典型例です。
2023年末で廃止される投資の制度“ジュニアNISA”を解説した本。
私の専門知識(現役銀行員・証券アナリスト)を活かしてニッチを狙ったため、それなりに読まれました。
ありがたいことに、ベストセラーも獲得できました。
しかし、この本。
2024年には、完全に無価値になります。
制度自体が2023年末で消滅するので、この運命は絶対に覆すことができないのです。
このように。トレンドや期間限定のトピックは一時的に売れますが、長期での収益獲得には向きません。
■絶対に続く筋トレ
先ほどと真逆の狙いで書いたのが、この本。
はっきり言って、テーマは地味です。
出版後に大きく日の目を見たり、ベストセラーになったことは一度もありません。
しかし、出版してから1年半が経ちますが…
いまだに、毎月40,000ページ以上読まれています。
その理由は単純で、コンテンツの中身が普遍的だから。
「筋トレを続けたいけど続かない」という悩みは、トレンドにまったく関係ありません。
運動不足解消のため、筋トレを始めてみたけど…
昔ほど体力もないし、仕事も忙しいし、つい筋トレをサボってしまい、結局続かない。
そのような悩みは、20代後半~40代前半ぐらいの一定層で必ず現れます。
現在学生で、この本にまったく興味のない人でも、数年後には必要となる情報かもしれないのです。
一般的には、
「結局、コンテンツビジネスは作り続けるしかない」
と考えられています。
確かにこれは真理であり、私もずっと本は書き続けるでしょう。
しかし…
世の中の潮流とは関係のない、普遍的なコンテンツ。
それを作ることができれば、『世代を超えたリピート』が可能かもしれません。